今年で記念すべき10回目を迎える石あかりロード2014におけるJAPAN石あかりコンテスト2014の表彰状への彫刻作業の機会を頂きました。
作成しましたのは1位から5位までの作品に与えられる5枚です。
コンテストの結果発表が目前に控えたある日、牟礼町の石工さんによって作成された、表彰状となる5枚の石板が届きました。
250mm×180mmのサイズの庵治石の細目で作成されています。
数日後、コンテストの結果が発表されデザイナーさんより表彰状の画像が送られてきました。
御覧の通り表彰状とはいっても方言(やや古め)バリバリで堅苦しさは全く無く、ひっじょーにフランクであります。
文字もそれに沿ったものになっています。
石材への文字彫刻をする場合はサンドブラストと言われる工法が採られる事が多いです。
これは、対象物の石材にゴムシートを貼り付け、それを文字の形にくり抜いて露出した石の部分に対象物より硬い砂を吹き付けます。
硬い砂を吹き付けられた石は割れますがゴムシートは柔軟性が有り割れずに耐える事ができます。
その結果的、ゴムをくり抜いた形に文字を彫る事ができます。
しかし、こういった柔らかな文字、ウネウネとしたラインで構成された味のある文字をくり抜く事は難しく・・・・
イヤ、このぐらいの小さな文字では無理です。 勘弁してください。
そこで、露光フィルムを使った方法で作業を行う事になります。
露光フィルムを使用する事により原画に非常に近い彫刻が可能になります。
とは言え、原画そのままを使用した場合はちょっと不都合が発生します。
例えば。
「め」 で印された部分に針の先ほどの白い点が有ります。
紙に印刷された場合はややにじんでぼやけていたとしても、そこには厳然とした白い点(のようなもの)が存在します。
しかし、石に彫刻する場合ははっきりと残っていたとしても針の先の様な大きさではとても判りづらく潰れた様に見えます。
(実際には残らない事が多いです)
このあたりが2次元と3次元では感覚的に違いが出てきます。
そこで、この様に文字の雰囲気を壊さない程度に大きくします。
では、早速作業に取り掛かります。 納期まで余裕が無いのです。
当然ながらデザイナーさんはイラストレーターでプロフェショナルクオリティで作成されておりますが、貧乏人な当店はadobe製品などとてもでは有りませんが手が出ません。
なので、gimpです。当然です。
解像度が100ppiはかなり粗いのでもっと高解像度にしておきます。
「の」 の真ん中も小さいので
少しだけ大きくしておきます。
「委」 もちょっと厳しそうに見えます。
4画目と「女」の間を気持ちだけ大きくしました。
その他、数カ所を、デザインが変わらない程度に修正しました。
たぶん・・・
違いは判らないと思います。
1枚につき数カ所で5枚分なので結構時間がかかりました。
あと、ちょっと気になった事があります。
表彰状の定型的な文言は1位のデーターを元に同じ物を使い回されています。
しかし、それ以外の表彰状は文字数の関係などにより配置が変わっています。
その関係で文字が下にさがっている様に見えるものが有ります。
板石に貼り付ける時に若干上にずらせば良いだけなんですが見出しの表彰状の位置まで変わってくるのでちょっと修正してみました。
この部分を・・・・
このくらい・・・・かなぁ・・・。
・・・・っふう。
上げてみました。
こんな感じでいかがでしょうか?
何気なく書いているPC作業ですがPDFから画像データーとしてインポートする際に解像度を上げすぎて巨大な画像になってしまい、GIMPがことあるごとにコケまくりましてかなりの時間がを要しました。
フリーソフトはこういった場合の信頼性が低いので仕方がありません。
なので、露光フィルムの作成は夜が明けてからにします。 (AM02:30)
朝です。 眠いです。
しかし納期は明日です。 休んではいられません。
まず透明なプラチッククシートに修正した画像を印刷します。
これを露光フィルムの版下として使用します。
これが露光フィルムと呼ばれるモノです。
厚さ100μm、つまり0.1mmの樹脂フィルムです。
これに紫外線を文字の形に照射し感光させそれを現像することによりサンドブラスト用のマスクにします。
以前はもっと厚みがある強靱で深彫りのできる製品もありましたがコストや取り扱いに難があり現在はほとんど使われていないようです。
ちなみにアメリカ製です。
露光&現像してます。 (撮り忘れたので画像はありません)
はい。
マスクができあがりました。
粘着剤がついている青い樹脂フィルムが白い台紙に貼り付いています。
青いフィルムの上には貼り付け用の透明なフィルム、さらに透明な極薄い保持用のフィルムの層があります。
では板石に貼り付けます。
ペリペリペリ。
空気やゴミが入ったり皺になったりしない様慎重に。
貼り付け用の透明なフィルムを剥がします。
貼り付けが終わりました。
オブラートの様な(実はもっと薄い)保持用の薄いフィルムがまだ残っていますがサンドブラスト時に破れて無くなります。
次は、メイン作業のサンドブラストです。
サンドブラスト中の画像はありません。
パニックでした。
実は、露光フィルム用のブラストの圧搾空気のバルブが壊れてしまい作業ができなくなりました。
仕方が無いので墓石字彫り用の道具で急遽代用しました。
砂を吹き付ける道具なのですが砂の「吸引式」と「直圧式」との違いがあります。
実際に、露光フィルムに向いているのは吸引式のようで出来上がりが若干変わるようです。
直圧式は深彫りや立体彫りなどの彫刻に向いています。
そんなこんなでブラストが終わりました。
そして金色の塗装をします。
塗料が乾燥したら露光フィルムを剥がして出来上がりですが、最低4時間はかかります。
が、現在AM4:00
納期は明日なので、夜明けまで塗料を乾燥させる事にしました。
もうあした。 今夜は無理。
納期がきついのはしんどいです。
駄文長文失礼しました。
墓石、記念碑、表札等の石材への文字彫刻に携わっています。
戒名等の出張彫り承ります。基本価格¥20,000~
和泉字彫店
高松市牟礼町牟礼3720-133
087-845-3871
090-2780-1671
0 件のコメント:
コメントを投稿