2014/08/05

大きなセンダンの木の下で

お世話になっております。 和泉字彫店でございます。
本日は高松市内の墓地に有ります霊標の戒名の追加彫りをしました。

いわゆる「村墓地」と呼ばれ、その土地に古くから有って近隣の人々が利用し守ってきた墓地です。
そういった村墓地にはセンダン(栴檀)の木が植えられている事が多く、墓場の木として知られていました。
しかし、現在は区画整理などで処分されて減少の一途を辿っています。


クリックで少し大きくなります
これがセンダンの木です。 
元々は南方の樹木らしいので成長が早いのですがここまで大きいのは珍しいのではないでしょうか。

近くで見ると太い幹はまるで盆栽のようにうねうねとしています。
センダンの木の大きさがこの墓地の歴史を物語っていると謂えます。





なぜ、墓地にセンダンが植えられているのでしょうか。  人によれば・・・
昔は墓地で火葬していたので香りのいいセンダンを植えて匂いを誤魔化していた。
と謂われたりします。
 
しかしです。初夏の頃に咲く花以外の葉や幹、樹皮などで実際に芳香を感じた事はありません。

多分、この説は白檀と栴檀とを混同しているのだと思います。(栴檀は双葉より芳し


じつは、昔は罪人を処刑する断頭台をセンダンの材木で作っていました。
これは、センダンの樹皮や根皮に除虫効果が有るので死体にたかる虫をはらう目的もあったらしいです。
それとインドでは悪霊を祓う霊木とされており、これが中国を経て日本に入ってきて祟りを封じる為に断頭台に使われたともいわれています。

そういう事も有って、昔の墓地には必ずセンダンが植えられていたのだと私は思います。


センダンは 5~6月に花が咲き、秋に実が実ります。
実はヒヨドリやムクドリが好んで食べるそうですが、ひび、しもやけに効果の有る「苦棟子」と呼ばれる生薬にもなるそうです。(皮膚に塗布するのでしょうかね?)

が、あくまでも民間療法ですし、効果の程もわかりません。 

ちょっと農研機構のサイトで調べてみますと・・・

牛,羊,山羊,豚,犬,家禽と,ほとんどの家畜に中毒例があり,ヒトの中毒事故も多いようです

有毒成分

    リモノイドテトラテルペン構造を持つメリアトキシン(meliatoxin) A1, A2, B1が有毒成分として分離されています(4).実の中の有毒物質量は環境要因や木の成長過程によって差があり,中毒量の決定は難しいようですが,豚,羊で約 5 g/kg体重という報告があります.また犬の場合,5, 6個,ヒトの子供の場合,6 - 8個の実の摂取で死に至ると報告されています(1,2).

中毒症状

    センダンによる中毒の転帰は早く,消化器系,神経系の臨床症状は摂取後2 - 4 時間で現れます.主な症状には食欲不振,嘔吐,下痢,便秘,疝痛,興奮,痙攣,運動失調,沈鬱,麻痺,昏睡 さらに循環性ショックと呼吸困難を経て死に至ります.通常,致死量のセンダンの実を摂取した場合,48時間以内に死亡します(1,2).

病理所見

    解剖所見は非特異的ですが,最も多くみられる所見は,肝臓および腎臓の重度のびまん性充血,痙攣による二次的な筋組織の点状出血などです(1).


子供の場合は6~8個で致死量に達するそうです。 気をつけましょう。



失礼しました。 作業とは関係無い話になってしまいました。

今回の作業はコチラです。
センダンの木が傘のように覆っています。

センダンの木の枝には数十匹の蝉がとまっていますが50cmの距離に近づいても全く逃げようともしません。

蝉になめられているのでしょうかワタクシ。





スイマセン。

逆光になるところをなんとか撮影しようと、光を絞る為に手のひらで陰を作った関係で手が写ってしまいみっともなくなってしまいました。

お墓の軸石(竿石、真石、仏石などとも呼ばれます)には南無妙法蓮華経のお題目がひげ文字で彫られています。
 日蓮宗、法華経系の宗派の場合は南無妙法蓮華経、妙法蓮華経のお題目をひげ文字で彫る事が多いです。

ひげ文字は、文字よりも宗教上の意味合いが強いロゴとでも言うべき物になりますので、通常はお寺様に書いて頂く事になります。





そうこうしているうちに雲行きがあやしくなってきました。

急いで用意をしなければなりません。 
石が雨に濡れるとゴムシートを貼り付ける事が出来なくなりますので作業を諦める事になります。


作業機材を軽トラから下ろしました。
唯一残るのは現場作業における虎の子とも謂うべきコンプレッサーです。
移動用のコンプレッサーがないと持ち帰えざるをえません。
これも古い機種でとっくの昔に生産中止になった物ですが、大事に使っています。
性能は低いですがしっかりとメンテナンスをすればちゃんと応えてくれます。



準備完了。 作業開始します。

がむばって彫ります。
必死で彫ります。
がむばって彫ります。
がむばって彫ります。



作業完了です。左端の戒名を今回彫りました。
今回は塗装をしていませんので光の当たり方によっては彫った直後は文字が読みづらくなります。
 院号を授与されていましたので他の戒名より字数が増えた分文字が小さくなったのも一因でしょうか。
「妙法」の妙の下辺りに1名分の空白が有りますが、これは御存命でいらっしゃいます施主様のお母様の分になります。
将来、お母様が亡くなられた場合に御主人様(施主様のお父様)の隣りに彫刻する為です。


落ちてくる雨粒が少しずつ多くなってきます。

急いで片付けをして帰路につきました。
 



墓石、記念碑、表札等の石材への文字彫刻に携わっています。
戒名等の出張彫り承ります。基本価格¥20,000~

和泉字彫店
高松市牟礼町牟礼3720-133
087-845-3871
090-2780-1671

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