2014/12/11

お墓の磨き直し

いつもお世話になっています和泉字彫店です。
更新が滞っている拙ブログは一般の皆様には馴染みの無いと思われる石材文字彫刻業務に携わる日常を書き殴っているblogであります。

ところが、ちょっと妙な事になってまいりました。
と言うのも、右側の人気の投稿と言う欄に閲覧者様に御覧頂いた記事のトップ5を表示しています。
これの第1位ですがタブレットのLCDを交換した記事で・・す・・・ね・・・・。

大事な事なのでもう一度言います。
拙ブログは文字彫刻に携わる日常業務を書き殴っているわけであります。

書き殴っているのがいけないのでしょうか。 閲覧されているのは業務と関係の無い記事という現実。
これが当店の業績を如実に顕しているのではないでしょうか。  (号泣) 


なので、これまで現場作業に関する記事に偏っている事を反省し今回はちょっと趣向を変えてみます。


お墓のクリーニングというサービスがあります。 耳にされた方もいらっしゃると思います。
お墓を建立されて年月が経つと水垢やコケなどが付着してきます。 それが石の風合いでも有りますが。
薬品や簡単な研磨機を使って付着物を除去したり色合いを調整して綺麗にするサービスです。
綺麗にはなりますが、輝く艶を出すには至りません。 

そこでお墓の磨き直しとなります。 「磨き直し」の言葉通り当初の輝きを取り戻します。
磨き直しは磨く面を数ミリ削る事により研磨を行います。 その為、磨き直した面に彫られていた文字は消えかかったり極端に浅くなったりします。
よって、磨き無しをした場合は文字も彫り直す必要が有ります。 
消えかかっている文字の上から元々彫られていた文字を彫る必要が有ります。
これが結構面倒くさいのです。 ほんと嫌になっちゃうぐらい。

ではいってみましょう。

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はい、これが磨き直しをする前の状態です。
タブレットの高機能カメラアプリで撮影したところ右斜め45°に傾いた状態で中心部の一部分だけを切り取った様な状態で保存されていておりまして、それをまっすぐに修正しましたのでこんな8角形の画像になってしまいました。スイマセン。
アプリでメモリ関係の不具合でもあったのでしょうか。










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近づいてみるとコケっぽい物が文字の中に付着しています。

昭和30年代のお墓ですので手彫りで浅く彫られています。
細字などは磨き直しで消えてしまう箇所が出る事は間違いないです。





当店は文字彫刻専門ですので墓石の研磨のスキルはありません。

ですので石材業者様(つまりお得意様ですが)にて行われます。



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はい、こちらが磨き直しが行われた墓石です。

数ミリ削られ鏡面の様な輝きのある状態にまで研磨されています。

写真が上手く撮れていなかったので見づらいですが、文字が全体に浅く細くなり消えてしまっている箇所沢山有ります。

この状態から元々彫られていた文字を彫り直すわけです。





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彫り直す面にゴムシートを貼り付けましてアルミでこすりますと消えかかった文字が浮かび上がります。





クリ

予めとっておいた拓本を消えかかった文字と合わせます。
正確に重ね合わせができれば良いのですが上手くいきません。




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重ね合わせた拓本を元に研磨する前の文字をカーボン紙を使ってゴムシートに写します。




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写した文字をナイフで切り抜いて行きます。
この作業がとてもツライ。
新規に文字を彫るので有ればさほど問題は無いのですが消えかかった文字が残っていますのでそれにあわす必要が有ります。
しかし、そう簡単には合わないのです。
こちらを合わせればあっちがズレてあっちを合わせればそっちとこっちが・・・
と無限ループに陥ります。
細かい文字が有れば本当に大変です。

それと、残っている文字にナイフの先が引っ掛かってナイフの刃がすぐに欠けてしまいます。

この作業は新規で文字を彫る場合に比べて4倍ぐらいのコストが掛かります。

はっきり言って字彫り屋泣かせの仕事とも言えます。





クリックで少し

前文字は完全に消えてしまっている箇所はありませんでしたが浅くなってしまっている箇所の修正と中のコケや汚れをサンドブラストで落とします。



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はい、サンドブラストを終えました。

浅くなってしまった箇所は手を加えてはっきりと見える様に修正します。

そうで無い箇所は汚れやコケが落ちる程度に極く軽くブラストして元々の文字を変えてしまわない様に注意します。





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はい、これが作業終了後の様子です。

文字の中に付着していたコケや汚れは綺麗になっています。

研磨によって浅くなり、はっきり見えなかった行書体の細い箇所も修正されています。





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こちらは元々が手彫りの浅い文字でしたので文字を彫り直す事によりはっきり見える様になりました。
黄色く見えるのは石に混じっている鉄分が錆びた物です。
鉄分が多い石の場合は錆が出やすくなります。
サビに関しては石全体に鉄分が混じっていますので研磨の効果はあまり有りません。

錆取り剤を使って鉄分を除去する事も可能ですが、除去出来るのはあくまでも表面の鉄分だけですので根本的な処置ではありません。



以上で作業完了です。

駄文乱文失礼致しました。




墓石、記念碑、表札等の石材への文字彫刻に携わっています。
戒名等の出張彫り承ります。基本価格¥20,000~

和泉字彫店
高松市牟礼町牟礼3720-133
087-845-3871
090-2780-1671

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