いつもお世話になっています和泉字彫店です。
石材業界は一般の方にはあまり馴染みが無い業界だと思います。
いえ、馴染みが無いと云うよりも必要に迫られない限り関心を持たれない業界といった方が正しいかもしれません。
その石材業界の中でも文字彫刻専門の字彫り屋の存在を御存知の方がどれだけいらっしゃるか。
それが拙blogを始めたきっかけであります。
そんな理由で始めた宣伝能力が著しく欠如している拙blogを御覧頂いたのが今日のお客様です。
誠にありがとうございます。
到着しましたのは高松市郊外の墓地です。
大きくはありませんが古くからの歴史の有る村墓地の様です。
ダートに軽トラを止めましたが、ちょっと斜めに傾いていてます。
路肩が緩そうなのでやや不安があります。
では、いってみましょう。
こちらの霊標へ戒名の追加彫りの御依頼を頂きました。
既に6体の戒名が彫られており、今回は続く7体目に彫り込みます。
位置を確認しながらゴムシートを貼り付けます。
予め、ゴムシートには彫り込む文字の形に切ってます。
下見&打ち合わせの際に採っておいた拓本を元に文字を作成します。
作成した文字の形にゴムシートを切っておきます。
現地でゴムを切る業者もいますが、それだと無理な体勢で作業をする事になりますので どうしても作業品質は落ちます。
彫り込む文字の所のゴムを除去してゆきます。
ゴムの除去が完了しました。
今回は、お墓を建立された方が亡くなられています。
裏面の建立者の赤色を除去する必要があります。
当店では文字に朱色を入れる場合は、先ず白色を入れてから朱色を入れる様にしています。
そうした方が色が鮮やかに見える場合があるのと、除去する場合に石に朱色が染みこみにくく除去しやすいのです。
今回は直接赤色を入れている様に見えますので剥離剤では上手くいかない可能性があるのでサンドブラストで除去する事にしました。
文字の上からゴムシートを貼り付けて、文字の形にくり抜きます。
サンドブラストの準備に掛かります。
準備完了です。
サンドブラストはその名の通り砂を吹き付けて文字を彫ります。
吹き付けた砂や埃が周りに(少しでも)飛び散らない様にブルーシートやビニールシートで囲います。
では、彫ります。
コンプレッサーのエンジンを掛けます。
ん? なんだこれ?
え・・・・あ、 ああああ。 ガソリンが漏れている。
あぶない 危ない。
炎上するとこだった。
(遮熱用のマフラーカバーがあるので普通は大丈夫ですけどね)
燃料タンクが満タンになっている状態で軽トラを斜めの場所に止めたので
給油口からあふれ出したようです。
とりあえず拭き取ります。
拭き取ります。
まだあふれ続けます。
とりあえず拭き取れるものは拭き取り、エンジンを始動してガソリンが減ってくるのを待つ事にしました。
ガソリンの漏れも無くなりましたので作業に戻ります。
彫ります。
彫ります。
がむばって彫りました。
彫り終えました。
しっかりと彫れています。
既に彫られている文字が白色塗装されていますので今回も同じ様に白色塗装をしました。
建立者の文字にもサンドブラストを行ない赤色を除去しました。
ゴムを剥がすと塗料が残っている箇所があります。
文字のフチの箇所はコムをカットしづらいので砂が当たりにくくなり、どうしても残ってしまいます。
こうして剥離剤を塗布すると残っている塗料がふやけてきます。
サンドブラストと剥離剤を併用して、それぞれの長所を生かす事により綺麗に除去する事が出来ます。
シンナーなどの溶剤は使わない方がいいです。
溶剤を使いますと溶けた塗料が再付着して塗り広げるだけになる場合があるからです 。
今回、打ち合わせの際に必ず赤色の除去を行なう旨を施主様に念を押されたのですが、ひょっとして除去をしない業者とか、別料金の業者とかが存在するのでしょうか?
当店では必ず行ないますが、行なっていないお墓や、上から色を塗って誤魔化しているお墓もちらほら見受けられます。
確かに、朱色の除去はかなり時間が掛かりますのでコスト的には厳しいのですが。
作業完了です。
片付けに掛かります。
撤収作業完了です。
ありがとうございました。
墓石、記念碑、表札等の石材への文字彫刻に携わっています。
戒名等の出張彫り承ります。基本価格¥20,000~
和泉字彫店
高松市牟礼町牟礼3720-133
087-845-3871
090-2780-1671
川原で見つけた個性的な石ころに心に響く言葉や勇気づける言葉を彫ったりしていますが石材関連の商品群はどれをとっても一般に流通されていないので例にもれずゴムシートも高いですね・・・・。
返信削除以前、買ったゴムシート1mm厚(手切り用)も底をついてきたのでソロソロ購入をと考えていますがプロの方にお尋ねしたいのですがもう少し薄くても大丈夫でしょうか例えば0.7mmとか・・・?
そこら辺の経験に培われたお知恵をコラム風に是非とも拝借したいと思っています。
拙blogにコメント頂きありがとうございます。
削除匿名様の購入経路が不明なのですが、ネット通販とかはかなり高価になると思います。
それは、販売業者にとって石材業者に直接納入するよりもネット通販の方が手間と送料が余計に掛るだけで利益もあてに出来ないからでしょう。
ゴムシートは石材関連の工具屋から購入するのが一般的だと思いますが、ゴムシートのメーカによっては特定の工具販売業者には安く卸したりしているので、お近くの業者数件にあたってみると良いと思います。
一番なのは、必要な分量だけ懇意にされている石材加工業者に分けてもらうことでしょう。
ゴムの厚さに関しては、何にどの様な物を、どのぐらいの深さに、どのぐらいの粒度の砂を使うかによって決まってくるので決まった答えは無いと思います。
ただ、河原の丸い石ころで手のひらサイズだとしたら1mmのゴムというのは厚くて使いづらい気がします。
当店で使用しているのは1.5mm 1.0mm 0.7mm 0.5mmで、手切り機械切りが混在しています。
墓石用では1.0mmがメインで0.7mmが小さい文字用1.5mmは前文字用です。
.7mmだと粗い砂が混じっている場合にゴムが痛みやすくなります。
石が柔らかい場合や深さを出さない場合は薄いゴムでも十分です。
その辺りは記事にしてみたいと思います。
早速のお返事がいただけるとは・・嬉しいかぎりです。
返信削除当ブログはブラウザのブックマークで保存されていますので度々更新なされていないか覗いています。
前々から教えてほしいことがあったのでこちらで今回、初めて質問させていただきました。
そうですネット通販でしか購入の術が無い個人にとってゴムシート一つ・砂ひとつとて高価な代物なんで
おいそれとは試しに買えないのでこちらで質問させていただきました。
それこそ床に少しでもこぼした砂でも箒にちりとりで収集して使っています。
サンドブラストに惹かれ、やり始めた頃はホームセンターで珪砂を買ってきて埃だらけで視界も何も
あったものじゃない世界でしたがGC砂(炭化ケイ素)を買って使った途端、埃も大してまわず摩擦熱で炎のようにブラストできるのには
感激したのを覚えております。
彫刻の媒体は、時にはガラスや食器・瀬戸物なんかにも彫ったりして楽しんでおりますが、川が近いのでやはりメインは
石ころ彫刻になってしまいます。
プロの方に教えていただき感謝感謝!
これからもお仕事頑張ってください。 P,S(防塵マスクを忘れないように)