持病と云われる中でも腰痛はその最右翼ではないでしょうか。
私も20代の頃から慢性的にありまして、歩けないぐらいのヘルニアも経験しております。
肉体労働に限らずPC仕事で安物のイスに長時間座っていると結構大変な事になりますので、どうにかしたいのですがどうしようもない和泉字彫店です。お世話になります。
えー。県外の十数年来お世話になっている石材店さんから電話がありました。
「自然石に企業の名称を彫るので見積もりして欲しい」との事なんですが。
話が支離滅裂で仕事内容も釈然とせず納期も逼迫しているとてつもなく怪しい案件なんですね。
今迄もずうっとそんな感じのお得意様でして、今はだいぶ慣れっこになってきたんですが(麻痺とも云う)
はい。 こちらが、その自然石です。 石は愛媛県産の大島石です。
高さが2500mm、横幅が1500mm、厚いところで800mmぐらいでしょうか。
詳しくは判りませんが、1tは遙かに超えて1.5tから2t弱でしょうか?
ホイストで吊り上げるとホイストがゴムの様にビヨンビヨンします。
この大きさになるとウチの彫刻室のほぼ限界に近づくのですが大丈夫なんでしょうか・・・
本当に大丈夫なのでしょうか・・・・・
気が重いですが納期が目前なのでどうにかしなければなりません。
先ずは、石の中心線を引きます。
自然石ですので決まった中央というのが有りません。
また、下側も荒れた状態で垂直も取れませんので石の据え方も考えながら纏まりの良さそうな場所に決めますが悩むんですよねコレが。
次に文字の大きさや配置を決めてチョークで罫書きを入れます。
自然石ですので、一般的に使っているゴムシートに着いている粘着剤ではそのまま貼り付ける事ができません。剥がれます。
その為、ゴム糊をベタベタ塗って、その上からゴムシートを貼り付けるのです。
しかし、自然石に直接ゴム糊を塗ってしまうと文字を彫り終えてゴムを剥がす時にゴム糊が石の細かい凹凸に入り込んで取れなくなってしまいます。
なので、ゴム糊を塗る前にコーティング剤を塗るのです。
白いコーティング剤をペタペタ塗ってます。
塗布したコーティング剤を1晩おいて乾燥、硬化させたらゴム糊を塗ります。
ヌリヌリ。
はい。
ゴム糊が乾きましたのでゴムシートを貼り付けました。
これから、文字を彫ってゆきますが、1文字が40cm角ぐらいの大きさがありますので そのままサンドブラストで彫ってゆくと時間がかかります。
時間短縮の為に切削力の高い別の工具で粗彫りをします。
えー。
鉄工所とかでもお馴染みの、みんな大好きディスクグラインダーです。
鉄鋼用とは違ってディスクが石材用のダイヤになってますね。
粗彫りをするとしたらチッパーかグラインダーになると思います。
チッパーはメンテナンスしないと使えないので、今回はディスクグラインダーを使います。
ギュイ~ン・・・
ギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリ・・・・・
ギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリ・・・・・
ギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリ・・・・・
文字の所を切ってゆきます。
ギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリ・・・・・
グニニ、グニッ!グニッ!
グニニ? なんだ? おかしいな?
グニッ! ゴゴッ・・・・
あ・・・・ 止まった。
これはアカン。
ベベルギアの歯をなめて噛み込んでしまっている。
いやぁ・・・
このグラインダーは昔からウチに有った古い規格の工具なのですが、どうやら切削加工用のサンダーでは無くて本来は研磨用のポリッシャーらしいのですね。
なので、回転数もかなり低くて高負荷だとベベルギアへの負担が高くなったんじゃまいかと思うのです。
どおりで切れが悪いと思ったんだよなぁ。
まぁ、古い貰い物なのでどちらにしろ壊れる運命だった事には違いが無いのですが。
ですので、粗彫りもあらかた終わっているのでこの後はサンドブラストで彫る事にしました。
石を、彫刻室のトロッコに載せます。
大きい自然石なので慎重にしないと危険です。
動かない(倒れない)様にしっかりと楔を打って。
彫刻室に飲み込まれてゆくところ。
石をトロッコに載せてひかえのケーブルを張ろうとしていた時です。
工具の入ったペール缶を持ってスッと立ち上がったところでソレは来ました。
左脚付け根付近から太もも外側にキューっと何とも表現しずらい激しい痛みが走りました。
しばらくの間うずくまって悶絶しておりましたが、いっこうに治りまりません。
クラッチ操作がしづらいので危険なのですが、車を運転してなんとか整形外科にたどり着いて脂汗ダラダラ状態でMRIをとりました。
MRIを撮るには腰を真っ直ぐにする必要がありますので30分間の拷問です。
で、MRIの結果ですが、
原因不明
ちょっとしたヘルニアはあるがソレとは違うとのこと。
まぁ、予想どおりでは有ります。
鎮痛剤をいくつももらって様子見になりました。 それしか有りません。
セレコックスとリリカとロキソニンの湿布という一般的な処方なんで大して効きません。
1.5tの石を動かす力仕事をしなければならないのにロクに歩けないのでは話になりません。
鎮痛剤が効いたとしても、左脚には力が入らないので力仕事は無理です。
仕方が有りませんので助っ人を頼みました。
赤字になるのは確実なんですがそれ以外にありません。納期がないのです。
助っ人に手伝ってもらって22時ぐらいまで作業して残りは翌日以降に持ち越しとなりました。
そして朝になりました。
歩けません!
立ち上がるのが精一杯で一歩踏み出すと痛みと脂汗が吹き出して悶絶。
鎮痛剤を飲んで2時間ぐらいすると、ややマシになってきました。
でも、両手を膝に当てて上半身の荷重を腰に掛けない様にしてぎこちなく移動できる状態です。
乳母車にもたれかかって上半身の荷重を腰に掛けない様にした状態でないと歩けない、といったらわかりやすいでしょうか。
そんな状態で、トロッコに載った石を動かす力作業のみ助っ人に助けてもらって作業完了。
塗装をして、コーティング剤を除去してなんとか納入。
(コーティングの除去はこちらの記事に有ります。)
あーきつかった・・・・・
後日。
得意様からの振り込みがないので・・・・・ 電話してみたのですが。
連絡がとれません!!
死ぬ。 これは死ぬ
合掌。
墓石、記念碑、表札等の石材への文字彫刻に携わっています。
戒名等の出張彫り承ります。基本価格¥20,000~
和泉字彫店
高松市牟礼町牟礼3720-133
087-845-3871
090-2780-1671
お疲れ様です。自然石の彫込み 過去に何度かありますが・・・
返信削除この様な大きな物は経験ないですね!手間が相当かかったと思います。
腰の具合大丈夫?お互い気をつけましょう。
ありがとうございます。
削除腰はまぁ・・・いつどうなるかわからないですねぇ。