庵治石の産地である香川県高松市牟礼町では毎年石あかりロードなるイベントが開催されます。
石あかりロードでは優秀な作品を表彰するコンテストが行なわれています。
今回、JAPAN石あかりコンテスト2016の庵治石で作られた表彰状を作成する事になりました。
はい。
いきなりですが石板に露光フィルムを貼り付けました。
今回は全く時間的な余裕が無く、撮影出来ませんでしたので作業内容は前回の記事を参照して頂ければ幸いです。
サンドブラストをしました。
画像ではっきりとは見えない程度の深さで浅く彫られています。
細かい文字を深く彫るとみっともなくなります。
露光フィルムは非常に薄く、柔らかいのでホコリの様な細かい砂を吹き付ける必要があります。
今使っているのは石材用の炭化ケイ素(SiC)ですが、フィルムへの攻撃性が強いので本来はアルミナ(酸化アルミニウム:Al2O3)が望ましいです。
しかし、石材に対してある程度の深さで彫る必要が有り、当店では炭化ケイ素を使用しています。
(アルミナ用の小型の彫刻設備を持っていないだけなんですけどね。)
塗装をします。金色の塗装です。
ブラスト面(荒れている)に塗装するので光沢は期待できません。
ゴールドの塗料はアルミの粒子を使っているので高価です。
安価な缶スプレータイプも有りますが色合いが良くなかったり変色が激しくて1年ぐらいでダメになる物もなります。
塗料が乾けば露光フィルムを除去して完成です。
余裕が無かったので画像はありません・・・・・
なので、ちょっと前に作った物を載せておきます。
昔、ジアゾ式の複写装置を使用した事がある方は多いと思います。
青焼きとも呼ばれていたものですね。
コピー用紙(感光紙)に原稿を重ね、それに紫外線を当てるとインクなどで書かれた文字が有る所は紫外線が遮蔽され、文字の無い所は紫外線が透過するので感光紙に塗られているジアゾ化合物が分解されます。
紫外線に露光された感光紙を現像するとジアゾ化合物が残っている所だけが青色に発色します。
この露光フィルムもそれと同じ様な行程を採ります。
これが露光フィルムです。
前述の青焼きの感光紙に相当します。
このフィルムで厚さは125μm(0.125ミリ)です。
日本地図です。
透明なプラスチックシートにインクジェットプリンタで図柄を印刷しました。
これを、印刷における版下、青焼きにおける原稿として使用します。
撮影を忘れてしまいましたが、この2枚を重ねて紫外線に露光させます。
何をやっているのか全く判らないと思いますが露光の次の工程の現像です。
露光フィルムの多くは水現像だと思います。
水を吹き付けると紫外線が当たらなかった所は崩れ落ちて無くなるのです。
水現像後させた露光フィルムです。
字彫り用のゴムではちょっと無理というか、上手く出来ない様な細い線やイラストもハッキリと出来ています。
この後、乾燥させるとマスキング用の露光フィルムの完成となります。
現像して出来た露光フィルムを彫る石に貼り付けました。
これでサンドブラストで彫りました。
いろいろ追われており、サンドブラスト後の撮影は全くしていなかったので画像はないのです。
え・・・。
で、ですね。
この露光フィルムですが。
賞味期限があります。
食べられないので賞味期限では有りませんが購入後1年以内に使わないといけないのです。
以前は2年以内でしたが、それが1年半に短縮され、いつの間にか1年になってしまいました。
使用期限が過ぎるとどうなるのか取扱業者から詳細なアナウンスはありませんが露光や現像の反応速度などが低下するのでは無いかと考えております。
そんなわけで。
使用期限がとっくに過ぎた露光フィルムが大量に余っています。
不良品を使ってサンドブラストをすると御得意様の石材製品をダメにしてしまう可能性があります。
かと云って捨ててしまうのも忍びないです。
高いんですよ露光フィルムって!
だから。 なんでもいいのでサンプル用に作ってみる事にしました。
はい。
みんな大好きスターリンの人ですね。
2年ぐらい前に作った版下ですが無造作に保管していたので耳の部分が傷ついてインクが剥げ落ちてしまっていました。みっともないですが仕方なくマジックで付け足しました。
本来は網点とか新聞、シルクスクリーンとかの技法が必要なのです。
で、何枚か作成致しました。
期限切れのせいか現像の反応速度が遅い気がしますがよくわかりません。
粘着力が弱い様な気もするし・・・
仕事場の片隅で何十年分ものホコリに埋もれていた石が有りましたので貼り付けてみます。
これはフィルムの貼り付けは終わり、貼り付け作業で必要な透明なシートを剥がしている所です。
貼り付けは終わりました。
ブラストをしない所は養生をしておきます。
ブラスト作業をしております。
非常にデリケートな露光フィルムですので墓石の前文字の様にギャリギャリ彫るわけにはまいりません。
細心の注意で優しく彫ってゆくのですね。
はい。
彫りました。
途中ははぶきました。
黒色の塗装をしています。
この125μmのフィルムは露光フィルムの中では最も厚い製品になります。
こういった網点で写真を彫る場合はもっと薄いフィルムを使うのが一般的なんです。
でも、深さが必要な場合はどうしても厚めのフィルムを使用せざるを得ません。
なので、細かい箇所が少し剥がれてしまいました。(原則的に少々剥がれる事は致し方ないです)
使用期限切れのせいで粘着力が落ちていたのかも知れません。
マクロ撮影しました。(このblogは画像クリックで拡大するのです)
精度的にはレーザー彫刻の方が別次元に美しいですね。
レーザー彫刻は原則的に深さが出ませんので塗装不可です。
つまり、石材だと黒い石材限定になります。
サンドブラストでは深さが出ますので今回は黒色を入れました。
露光フィルムを剥がす時に急いで作業した関係で塗膜も剥がしてしまい、後から黒色を再塗装したのですが、余分な塗料の除去をいい加減にしかしていないので塗料がまだ残っているのがお解りになると思います。
雑な仕事で申し訳ありません。
一応、表札という事で姓を彫ってみました。
文字は石の厚さに合わせた深さの薬研彫りです。
バランスも何も無く、不自然で申し訳ありません。
露光フィルムの仕事ってなかなか無いですよねー。
墓石、記念碑、表札等の石材への文字彫刻に携わっています。
戒名等の出張彫り承ります。基本価格¥20,000~
和泉字彫店
高松市牟礼町牟礼3720-133
087-845-3871
090-2780-1671
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